栽培する花火

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私はとある花火職人の弟子になった。師匠は不思議な畑で打ち上げ花火を栽培しているのだ。
師匠曰く、来年の分の種はもう撒いてあるから、これから夏まで共に育てよとのことだった。
台風の日はほかの職人と共に種をビニールハウスに運び大雨から守った。水をやり過ぎてはいけないようだ。
いよいよ、育てた花火を打ち上げる日になった。
なぜか畑に設置された筒の中に、収穫した花火を入れた。
花火を打ち上げると育てた花火は空にきれいな花を咲かせた。
打ち上げは大成功だ。
私は師匠に「うまくいきましたね」と話しかけた。が、横にいたはずの師匠はいつの間にかいなくなっていて、離れたところに隠れていた。
ドオン!
突如、花を咲かせた10号玉の花火が、30センチの種を雨のように降らした。
ドドドドン!
「それを先に言ってくれ~!」
私は叫びながら全力で逃げた。
「また言うのを忘れてしまったのぉ」
師匠ののんきな声が響いた。
ファンタジー
公開:20/05/06 08:51
更新:20/05/06 08:54
超ショートショート講座

ひすい

のりてるぴかの息子。
地味に多趣味な鉄道オタク
名前の由来はとあるゲームの作家志望のキャラクターから。
 

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