今日まで家族

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「話があるの。」



君から突然告げられた現実に、僕はただ驚いた。

突然、なんて思ってしまう鈍感な僕は色んな場面で君を困らせてしまっていたんだろうな。

「沢山悩ませてごめんね」

もっと気の利いた言葉をかけられるような人だったらこんな日は来なかったかな。

四割が…なんて言うけれど、僕らは残りの六割だろうって根拠の無い自信を持っていて、何処か違う世界の話みたいだった。

そんなふうに思ってたのは僕だけだったのか。

「今までありがとう」

僕がそう伝えると君は大粒の涙を流した。

泣きながら微笑む君のその表情、前にも見たな…なんて考えられるくらいには僕は冷静で。

「こちらこそありがとう」

そう言った君を見て思い出す。

前に見たのは僕らが家族になった日だと。

そう気付けば残るのは後悔だけで、今までの自分を責めるようにただ泣いた。


僕らは今日まで家族。
明日からはただの他人。
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公開:20/05/06 12:44

山城圭( 日本 )

拙い文章ばかりですが、よろしくお願いします。

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