平成家族

「まぁ〜！可愛いですねぇ。お父さんに似てなくて」
そう言って息子を抱っこしてくれたのは、深田恭子。彼女の初主演作の映画の撮影が、地元で行われた平成11年の秋の出来事。確かに、私に似てなくて、誰からも可愛いと言われていた。昨年大学を卒業して、社会人2年目。
そんな息子の母である妻は、音大出のプロの打楽器奏者。茨城県の高校で音楽の非常勤講師を勤めている。結婚した時は、小泉今日子似だったのに、今や・・・。いやいや、多くは語るまい。
大学4年生の娘は、息子とは正反対に、小さかった時は、ガリ版で刷った様に私そっくり。小5までは「世界で一番パパが好き！」と言っていたのに、中3で「世界で一番パパが嫌い！」に変わった。
その娘が、昨年の今頃、ポツリと呟いた。
「平成は終わっちゃったけど、うちの家族はずっと平成だったよね。世の中も、これからずっと平成だったらいいのになぁ」

振るう疫や　平成遠く　なりにけり