フンコロガシ家族

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学校から帰ると、親父が声をかけてきた。
「どうした、その汚れた服は」
「何でもない」
横をすり抜けようとした俺の腕を、親父がつかんだ。
「学校でいじめられてるんだろ」
「……そうだよ!」
思わず大声で返した。
「そういう奴には『お前の母ちゃんでべそ』って言ってやれ」
「『お前の父ちゃんフンコロガシ』の衝撃にはかなわないよ!」
「そうか……」親父は頭をぽりぽり掻いた。

「どうして親父はフンコロガシなんだよ!」
悔しくて涙声になった。
「人間には二種類いる」親父が急に渋い声を出した。
「どういうこと?」
「転がすか、転がされるか」そう言うとニヤリ笑った。

「さぁ、お前はどっちを選ぶ?」
親父がフンをこちらに転がしてきた。
「俺は……俺はッ!」
俺は、丸く大きなフンを思いっきり蹴飛ばした。

そのキックを偶然見ていた監督に俺はスカウトされた。
Jリーガーになった今も、あの日のことを思い出す。
ファンタジー
公開:20/05/06 08:21
更新:20/05/09 10:05
応募しないやーつ

UBEBE

おっさんになりましたが、夢は追い続けます

「小説は短く、人生は永く」

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