偽装家族

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よくある仲良し家族。
他人にはそう見えているだろう。

だが、うちが他と違うところは、全てが偽装であるということ。
全ては今日の体育大会のために。

「準備できた?」
姉が緊張した面持ちで聞いてくる。
私たちは、反政府テロ組織に雇われた独り身の集まり。
最初から、こうなることは決まっていたのだ。

PTA会長の母が、今から知事席にクーラーボックスを置きに行く。
その爆発を合図に、銃撃を始めるのだ。

「本田さんのご家族って本当に素敵よね。」
副会長のその一言に、母の足が止まる。

この任務を完了できなければ、私たちは殺されてしまう。
それでも、家族でありたいと思ったのは私だけではないようだった。

母は地面にクーラーボックスを落とした。
振り返った母の顔は、本当にお母さんそのものだった。

ばん! いきなり知事席で爆発があった。
武器を手に取り攻撃を開始したのは、副会長のご家族だった。
ミステリー・推理
公開:20/05/06 08:15
更新:20/05/06 08:22

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