低速家族

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 「早く起きなさい!!!」
 そう言うお母さんの声で、目覚める五月一日。うるさいな…と顔をしかめつつ、布団から出る。
 ペタペタと足音を立てながら、階段を降りると、お父さん、お母さん、お兄ちゃんが既に食卓についていた。目玉焼き、ウィンナー、白米にお豆腐のお味噌汁。今日も美味しそう。
 「早くご飯食べて、支度して、遅刻しないようにね」
 お母さんの小言を聞きつつ、朝食を食べるのは日常茶飯事。




 五月二十四日。目覚めると、もう時刻は八時を回っていた。やばっ遅刻!!!もー、なんでお母さん起こしてくれないのよ!そう思いつつ、バタバタと階段を降りると…一階には誰もいない。あれ…?お父さんもお母さんもお兄ちゃんもまだ寝てるの?そう思うと、ブーっとスマホが音を立てる。


 “お客様のご家族 〇〇様 の五月の行動量の合計バイト数が残り1GBとなりましたので、行動速度を低速にいたします”
その他
公開:20/05/06 08:11
〇〇家族

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人3年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



note https://note.com/sumire_ssg

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