My天気予報家族

37
17

「今日の天気予報は?」
真斗はTVをつけた。お天気お姉さんがにっこり笑って教えてくれる。
『真斗くんの今日のお天気は、テストの結果がイマイチで雨模様。夜までには止むでしょう』
真斗はちぇっと舌打ちした。
「俺は?」
出勤前の父親も尋ねる。
『お父さんは一日中曇り。部長さんの雷を伴うにわか雨にご注意下さい』
「またかよ。いつも突然怒り出すんだから…」
父親はやれやれとため息をついた。
「私はどうかしら?」
「ママは暴風雨警報じゃないのか?」
「そんなら家から避難しなきゃ」
お天気お姉さんは微笑んだ。
『お母さんは終日晴れ。素敵な一日になるでしょう』
「あらよかった。もう二人とも失礼ねえ」

その日の午後、綺麗に化粧をした母親は家から離れた街の駅前に停まっている車に近づくと、素早く中に乗り込んだ。
「待った?」
「いや今来たばかりさ」
二人を乗せた車は、そのまま昼下がりの街角に消えていった。
その他
公開:20/05/05 14:25
◯◯家族 隕石家族 コンテスト #6

秋田柴子

2019年11月、SSGの庭師となりました
現在は主にnoteと公募でSS~長編を書いています
留守ばかりですみません

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・note×Panasonic「思い込みが変わったこと」コンテスト 企業賞
・SSマガジン『ベリショーズ』掲載
(Kindle無料配信中)

【近況】
 第31回やまなし文学賞 佳作→ 作品集として書籍化(Amazonにて販売中)
 小布施『本をつくるプロジェクト』優秀賞

【note】
 https://note.com/akishiba_note

【Twitter】
 https://twitter.com/CNecozo

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容