人魚の坂

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「お母さん、あの話聞きたい!」
「はいはい。話し終わったらちゃんと寝るのよ」
「うん!」
「昔々のお話です。人間の男に恋をした人魚がいました。
海から男を偶然見かけたのです。
人魚はすぐに父親のもとへ行って話しました。
しかし、お父さんは許してくれません。
人魚は仕方なく黙って地上へ、男のところへ行こうと決めました。
夜の海は怖かったけれど、人魚は頑張りました。
陸へ上がると2本の腕で這って進みます。
人魚は頑張ってある坂の下までたどりつきました。
『この坂を登りきればあの人に会える』
人魚はなぜかそう確信しました。
坂を這って這って、這いました。
ですが、結局は最後まで登れませんでした。
慣れない地上での激しい運動に耐えられず死んでしまったのです。
それからその坂は人魚坂と呼ばれるようになりました。
はい、おしまい。
あんたも人間との恋には気をつけなきゃダメだよ。
て、もう寝ちゃったか」
公開:20/05/05 12:08

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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