自然家族

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街に訪れたのは
人でもない、ただの静寂。

お店の仕事が立ち行かなくなったのだ。

「こんな時に両親がいれば……」

途方に暮れていると、
ふと親父の声が脳裏によぎる。

「人生、山あり谷ありってもんよ」

僕は自然に生き、
帰ることを決意した。

急いで車を走らせ、
向かった先は田舎の実家。

新緑の草木が
意気揚々と生い茂る。

木漏れ日から
差す光はとても暖かい。

懐かしさを覚え、
溢れんばかりの涙は
まさに不動滝。

今までの悩みが
薫風で一気に吹き飛んだ。

そして、目の前の
山々に大きく叫ぶ。

「ただいま!」

すると、
やまびこの返事が。

「おかえり」
「おう、来たか!」

目元のダムが、決壊しかけた。

「その声は……父さんと母さん?」

声に導かれ、そっと目を閉じる。
間違いない。両親の姿だ。

「ここは家族が自然と集まる場所」

連なる山脈の一員に、仲間入りした。
ファンタジー
公開:20/05/06 00:00
更新:20/05/06 08:06
〇〇家族 自然

モリソン( 名古屋 )

名古屋の会社員兼執筆家です。
普段は54字の物語をメインに書いていますが

ショートショートの魅力にもハマったので
皆様を参考にこれから様々な作品にも
チャレンジしていきたいです(^o^)

よろしくお願いします!

得意ジャンル
・言葉遊び系
・会社員系
・ファンタジー系

挑戦したいジャンル
・SF系
・恋愛系
・ミステリー系

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