小人の家族

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普通の人間は身体を三等分に切られたら生きてはいないと思うのだが、今の俺は生きているはずだ。
手や足はピクリとも動かないが今の俺は三等分にされているだけだ。
そして、今の俺は三人の小人にどこかへ運ばれているだけだ。

「この人間はどうするんだ」

小人の中でも最も小柄な小人が最も大きな小人に話しかける。

「楽器になるか、家族になるかじゃないかな」

楽器と家族は少し違うものだと思った。

「この人間はきっと家族だよ。優しいやつだからきっとそうだ」

そう言うと小人は歌を歌いはじめた。
とても、懐かしく綺麗な歌声だった。

そうして俺は小人になって、小人達と家族になった。
小人達とは血は繋がっていない。
けれど家族なんだ。
俺はみんなを家族だと思うし、みんなも俺を家族として迎えてくれる。
それだけでここでは家族なんだ。
俺達は毎日、歌って、踊って、黄金の葡萄でできた葡萄酒をみんなで飲むんだ。
ファンタジー
公開:20/05/06 01:29

ばるさみこ

初心者ですがコメントやアドバイス等よろしくお願いします。
 

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