百発百中

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ぼくには妙な特技がある。
誰もがよくやる紙くずのゴミ箱シュートだ。
そんなもの特技になるかって?
ぼくもそう思ってたけど、それが百発百中、どんな悪条件でもゴミ箱に入る神業となれば噂にもなる。
たとえゴミ箱が見えない隣の部屋に置かれてあろうと、多少の障害物があろうと、ひょいと投げればあら不思議、壁に当たって跳ね返り、吸い込まれるようにゴミ箱に入るのだ。

「ぜひ、うちの番組に出てください!」
この特技をあるテレビ局が放送してから、ぼくの人生は大きく変わった。
たかがゴミ箱、されどゴミ箱。
NBA並み、いやそれ以上の神業ともなれば人気も出る。
ぼくは番組が用意した超難関のゴミ箱シュートを、事も無げに決め続けた。

これには裏話がある。
ある時、枕元に神さまが立ち、「何でも一つだけ願い事を叶えよう」
と、お決まりの台詞を言ったので、ぼくはうっかりゴミ箱シュートの達人と願ってしまったのだ──。
ミステリー・推理
公開:20/05/05 17:08
更新:20/07/01 12:13
5月30日ごみゼロの日 ショートショートカレンダー

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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