3月1日

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「俺らもついに卒業か。小中高と一緒でも大学は無理だったな」
幼馴染の敦が帰り道、そんな話をしてきた。
「そうね。やっと敦の世話を焼く日々から解放されて清々するわ」
嘘だ。私は好きで敦の世話を焼いている。敦が好きだから彼の傍にずっといた。
「もうちょっと寂しがれよ」
唇を尖らせる敦。
「はいはい」
私の方が敦よりずっと寂しい。だけど素直になれない。
ふいに敦が歩を止めた。どうしたのだろう?
「俺はお前と会えなくなるなんて嫌だ。だから俺と結婚を前提に付き合ってくれ!」
「ば、バカじゃない!私達高校卒業したばかりなのよ!」
突然すぎる!それに結婚なんて!
「俺は本気だ!お前を絶対に迎えに行くからな!」
敦はそう言って走り去った。私の答えも聞かずに。
私は溜息を吐くと敦の家に向かった。
「待ってるから迎えに来なさいよ」
告白の返事という大きな忘れ物を届けてやった。
まだまだ敦は世話がかかりそうだ。
青春
公開:20/03/01 18:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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