一つの質問。多くの葛藤。

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「お兄さんっ!」少女が話しかけてきた。「なんだい?」ここで取り乱しては紳士ではない。優雅に返す。「これあなたの?」少女は手に持った一万円札を示す。い、一万円!?この金欠大学生の私に一万円だと!「あなたの?」少女は純粋な目で問う。当然私のではない。一万円あったらこんな公園で暇を潰していない。ここで私のと答えれば優雅な日曜日を過ごせる。だが、誰のと知らぬ一万円札を少女を騙し奪っても良いのか?いや、そんなの紳士どころか人間の風上にすら置けない。だが一万円は大きい!「見せてもらっても良いかい?」少女は少し一万円札を見つめ「いいよ」と、手渡してきた。「お兄さんの?」純粋な目線を向けてくる。うう、汚らわしい私とて人間の尊厳は(まだ)失っていないぞ!「お兄さんのじゃあないかな」虚しく一万円札を返す。「お兄さん良い人だね」少女は微笑むと走っていった。突然財布が光出す。中を見るとぎっしりお金が詰まっていた。
ファンタジー
公開:20/03/01 12:16

不可解な付加価値

楽しんで書きたいです

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