霧の間に

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この村は、深い霧に包まれる日は外出禁止令が出される。
「あれ」
外で誰か遊んでるみたいだ。窓を開けると、楽しそうな笑い声が聞こえた。
「誰かいるよ」
「気のせいよ」
お母さんはそういうけれど、やっぱりいた。
(いいなあ)
その中の男の子と目があった。灰色の瞳はガラス玉みたいだ。和かに笑っていたその子は、僕を見て顔を硬らせた。
「どこの子?」
尋ねても、男の子はもじもじとするだけで答えない。他の子も近づいてきた。みんなガラス玉みたいな目だ。
「一緒に遊ぼう」
女の子が誘ってくれた。けど断った。
「おいでよ!」
そう言って、みんな走っていってしまった。男の子も少し笑って、僕に手を差し伸べる。ガラス玉の瞳が綺麗すぎて、怖い。
「行かない」
そういうと、男の子は少し怒った顔をした。
「みんな待ってるよ」
僕は急に怖くなって窓を閉めた。
あれから、ずっと窓の外に誰かいる。霧の中で、ずっと待ってる。
ファンタジー
公開:20/03/02 10:27

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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