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「夢の中に入りませんか?」
と科学者に、東京の研究所で言われた。
私は作業に追われるバイト。話を聞きながら、実験を続ける。ボタンを押す。すると透明ケースに入ったマウスが一瞬で消えた。スマホが鳴る。
「マウス、こちらに到着。健康状態に異常…なし!生物のデータ転送、成功!」
何気に、こんな実験ができるなんて、ここは夢の中だ。

「一度、私の庭に遊びにおいで」
と科学者に言われた。誘われたのは、科学者の私設研究所の方。訪ねると、そこは、自然豊かな粟倉村だった。つたない設備、経験不足の起業家仲間を紹介され、失望?いや。別の価値が、ここにはある。田舎で見る、夢の未来が暗黒だと、誰が決めた?
夜の外は、確かに暗黒。だが、蛍が現れると、岩が光る。木々が光る。川が光る。粟倉村を美しくするのは、集まる蛍だ。
「時間を投資する先に、粟倉村か……」
目の前で、一匹狼の蛍が今、群れに合流した。
その他
公開:20/03/01 23:47
更新:20/03/02 15:51
スクー 投資蛍

久保田 人月

よろしくお願いします。
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