緊急事態

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室内は緊迫感に満ちていた。
緊張した面持ちの部下の正面には、机を挟んでトップが厳しい表情で立っていた。

「必要な物資は全て揃ったのか」
「完璧であります」

「消毒薬と衛生品は?」
「3か月間、全員に行き渡る量を備蓄しております。勿論増産を指示しております」

「治療薬は?」
「可能な時間内で治験した最も安全性・有効性の高いものを人数比1.1倍で確保してあります」

「万が一の時の隔離場所はどうだ?」
「有床個室かつ、陰性確認された医師と医療者を多数備えた施設を全国に手配しました」

「よくやった。まずは一安心だ。君の卓抜した有能さに感謝する」
トップは安堵したように椅子に座ると、背もたれに深く身体を預けた。卓上のケースから煙草を取り出し、部下にも勧める。
ゆったりと至福の一服をくゆらせて、ふと思い出したように目を上げた。

「ああ、忘れていた…そう言えば国民の分はどうなっているかな?」
その他
公開:20/02/29 15:15
更新:20/03/03 16:09
小説は 外出しなくても書ける

秋田柴子

2019年11月より、SSGの庭師となりました。
現在SSから長編まで幅広く書いております。

【活動歴】
・東京新聞300文字小説 優秀賞1回 入選2回
・SSG 空想競技コンテスト 入賞
・『第二回日本おいしい小説大賞』最終候補(小学館)
・SSマガジン『ベリショーズ vol.5,6,7,light』掲載(Kindle無料配信中)
https://www.amazon.co.jp/dp/B096821HSW

【近況】
 いろいろ書いてます(笑)

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