内政化

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応接間のソファに勢いよく座り込む。
苛立ちを顔に隠せず、目の前の部下が不安そうな目を向ける。
「何が内政化だ、くそったれ。」
荒々しく煙草と手に取ったが、気持ちを
落ち着かせる為あえてゆっくり一本を
取り出す。
「向こうは結論決めてここに来てましたね。ネゴの隙間も無かった…。」
部下の肩も声のトーンも落ちる。
そりゃそうだ、自分の顧客がいきなり「流通ラインのコスト削減」なぞという莫迦らしい理由で、中小のうちがあっさり除けられるのだから。
今日はその経緯を話に先方が来社したが、始終一方的な立場を見せつけられただけであった。
この流通ラインから除けられると、うちの年間2億の売上が吹き飛ぶ。
利益率は少ないものの、他顧客の売上が上がっていない中、この落ち幅の影響は言わずもがなだ。
さて、どうするか。
煙草の煙が宙に浮かんでいる姿をじっと
注視する。
その他
公開:20/03/01 10:23

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