伝説の銀のカタツムリ⑥

「出た！　ロダンポーズ！」
遠くから見守っていた『銀のカタツムリ』は拳を握る。
(しんちゃんが難しいこと考える時にとるロダンの「考える人」と同じ姿勢、通称『ロダンポーズ』あれが出たらもう大丈夫！)
　近藤さんを傷付けずにカツラを返すだけの相談を、なぜ銀のカタツムリは俺に差し向けたのかも含め、いつものロダンポーズで考える。頭の中で混雑していた情報のパズルピースが１つずつ整っていく。
　あと２つピースが必要だ。
「今田さん。近藤さんをどう思いますか？　それから好きなタレントはいますか？」
「え？　近藤君はナイーブな分、人の気持ちが解って優しいし、あんな人なら…。みんなはモト冬木に似てるって言うけど、カツラを外した姿は見たことなくて。想像してみたけど私はブルース・ウィリズに近いかなって。その2人共好きなタレントだけど」
俺はロダンポーズを解いて告げた。
「今田さん。カツラを返す必要はないですよ」