ひなまつり決戦
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二月初旬、オレとKは大学の掲示板に釘付けになった。
「……オレの学籍番号がある……」
Kは掲示板を凝視しながら呟いた。オレの学籍番号は掲示されていない。
この掲示は大学卒業を賭けた追試、通称「ひなまつり決戦」の対象者の発表である。この試験はどういう訳か毎年、曜日に関係なく三月三日に行われる。
「どうすんだよ。もう就職先も決まってるのに……」
Kがまた呟く。Kの顔色からあからさまに血の気が引いて行く。
「やばいとは思ってたんだろ」
「……でもさあ、本当にこうなると……」
Kは若干涙目でオレを見る。いや、そんなことされたってどうにもならんじゃないか。
「やるしかねえだろ。こうなっちまったんだから」
Kは茫然自失の態だ。
「頑張れよ。そうすりゃなんとかなる」なんて甘っちょろい慰めの言葉は掛けられなかった。だってそうだろ。決まったものは仕方ないし、こればかりは本人次第なんだから。
「……オレの学籍番号がある……」
Kは掲示板を凝視しながら呟いた。オレの学籍番号は掲示されていない。
この掲示は大学卒業を賭けた追試、通称「ひなまつり決戦」の対象者の発表である。この試験はどういう訳か毎年、曜日に関係なく三月三日に行われる。
「どうすんだよ。もう就職先も決まってるのに……」
Kがまた呟く。Kの顔色からあからさまに血の気が引いて行く。
「やばいとは思ってたんだろ」
「……でもさあ、本当にこうなると……」
Kは若干涙目でオレを見る。いや、そんなことされたってどうにもならんじゃないか。
「やるしかねえだろ。こうなっちまったんだから」
Kは茫然自失の態だ。
「頑張れよ。そうすりゃなんとかなる」なんて甘っちょろい慰めの言葉は掛けられなかった。だってそうだろ。決まったものは仕方ないし、こればかりは本人次第なんだから。
青春
公開:20/02/28 15:50
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