水晶玉の森

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辺り一面に雪が降り積もると現れる銀世界の話をしてみよう。
銀世界には、人間には見えない「雪の門」があって、そこから銀世界へ向かうことができるのさ。雪の門を通行するのは、雪男や雪女、雪ん子、雪の妖精など銀世界の住人さ。
雪の門をくぐると銀世界、いわゆる「水晶玉の森」が広がっている。降り積もった粉雪や牡丹雪が銀世界の森を包み込んで透き通った球状になり、まるで水晶玉の中に森があるように見えるのさ。そうそう、人間界にもスノードームってあるだろ。あれは水晶玉の森をモチーフにしたものさ。
水晶玉の森に生えている木々は、人間界で見られている樹氷より透明で固く硝子のようになっていて、雪明かりを灯すのさ。
キラキラと光り輝く水晶玉の森は神秘的で、人間界で見かけるクリスマスツリーのイルミネーションのように銀世界を美しく彩るのさ。
なぜ、そんなに銀世界のことに詳しいかって。それは、俺が人間に化けた雪男だからさ。
ファンタジー
公開:20/02/29 07:14
銀世界 雪男 水晶玉 粉雪 牡丹雪 スノードーム 樹氷

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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