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道具屋の店先に、変わった景色の皿があった。
摺り硝子の円を繋げた中へ、細雪が無数の軌跡を引いた様な。白とも銀とも透明とも付かない、ひぃやりした質感。
「誰の作かね?」
「知り合いの工房の習作で。スノーブラストと言う、新しい技法だとか」
スノーブラスト?摺り加工を施す、サンドブラストは覚えがあるが。
「硝子に雪を高速で吹き付け、削って模様を入れるそうで。点滴岩を穿つって言葉もありますがね、砂やダイヤとはわけが違う。気の長い細工です」
説明を始めたという事は、買い目があると踏んだらしい。
「幾らだ?」
指二本、悪くはない。
「刺身を盛るには良い皿だ」
持ち上げた皿は案外軽く、驚いた事に、雪程に冷たかった。
「雪を吹き続けると、温度も移るそうで。……あ!」
店主の声と、滲んだ水の感触に、手が滑った。
「こいつは硝子も特別で、本物の氷みたいに融けるんでした。まぁ割っちまったものは仕方ない、お勘定」
摺り硝子の円を繋げた中へ、細雪が無数の軌跡を引いた様な。白とも銀とも透明とも付かない、ひぃやりした質感。
「誰の作かね?」
「知り合いの工房の習作で。スノーブラストと言う、新しい技法だとか」
スノーブラスト?摺り加工を施す、サンドブラストは覚えがあるが。
「硝子に雪を高速で吹き付け、削って模様を入れるそうで。点滴岩を穿つって言葉もありますがね、砂やダイヤとはわけが違う。気の長い細工です」
説明を始めたという事は、買い目があると踏んだらしい。
「幾らだ?」
指二本、悪くはない。
「刺身を盛るには良い皿だ」
持ち上げた皿は案外軽く、驚いた事に、雪程に冷たかった。
「雪を吹き続けると、温度も移るそうで。……あ!」
店主の声と、滲んだ水の感触に、手が滑った。
「こいつは硝子も特別で、本物の氷みたいに融けるんでした。まぁ割っちまったものは仕方ない、お勘定」
ミステリー・推理
公開:20/02/27 19:47
更新:20/02/27 19:51
更新:20/02/27 19:51
冬季限定詐欺……
指二本が幾らかは、
ご自由にご想像ください(笑)
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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