解体業者

今日も俺に解体の依頼が舞い込んできた。いくつかの道具を持つと現場に向かう。
そこにいたのはババアだ。
「ねぇ、貴方？私、何歳に見える？」
知らねぇよ…
早速作業に取り掛かるとしよう。
まずは面の皮を剥ぐ。本性がむき出しになるがそれをオブラートで包んでやる。
口が悪いババアもこうしてやるだけでただの心配症の世話焼き婆さんに早変わり。はい。解体完了。
依頼人である婆さんの息子は俺に何度も頭を下げた。
「母の若作りにはもうウンザリしていたんです…解体してくれてありがとうございます」
いやいや、礼を言われるような事ではない。
若作りしたところで老朽化した建前ってのは危ないんだ。
テレビで政治家達を見ているとよく分かるだろう。信頼が倒壊してしまう前に取り壊す事が正解だ。
とは言っても、奴らは老朽化している自覚がないからな。
俺はむしろ心配だからと解体を依頼してくれるアンタみたいな人に礼を言いたいよ。