おまもり

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少しだけ酒を飲み、大丈夫だろうと車を運転した。
隣に彼女がいるんだ。いいところを見せたかった。
それが間違いだった。俺は事故を起こしている最中だ。
信じられないかもしれないが正面所移する寸前、時間が止まった。
「君に選択肢を与えよう」
車に吊るしてあるお守りから声がした。
「対向車の子供を犠牲すれば、君達を助けてあげよう。君はあの子と自分達、どちらを選ぶ?」
そんなの決まっている。子供には悪いが俺と彼女は生き残る。
「了解した」
時間が動き出し、事故が起こった。

俺は奇跡的に助かった。しかし彼女は亡くなった。
悲しみに暮れるのは俺だけではない。あの時、正面衝突した相手は無事だが子供を亡くしていた。
俺も相手も飲酒運転だった為、冷たい目に晒された。
俺は偶然にも知ってしまった。
相手が「助かるって言ったじゃないか…」と呟き、俺の物と同じお守りを握りしめているのを。
相手が犠牲にしたものを。
ホラー
公開:20/02/27 18:39

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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