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「ああ、もうこんな貧乏な暮らしはイヤだ。神さま、どうかおれの願いを聞いてください!」

今夜は星々があまりにも美しかったので、おれは夜空に向かって神さまにお祈りを唱えていた。
すると、金色に輝く輪っかを頭の上に乗せた男が、するするとこちらへ降りてきた。
「お前の願い事を、ひとつだけ叶えてやろう」
とその男は言った。
ゆったりと身に纏った白いローブといい、頭に戴いた輪っかといい、威厳のある顔つきといい、どうやらこいつは本物の神さまに違いないぞ。
「あなたは神さまなんですか?」
と尋ねると、
「ああ、そうじゃよ⋯⋯」
と白い髭をいじりながら面倒くさそうに応えた。
なんだか少し機嫌が悪いようだけど、願い事を叶えてくれるのならなんだっていい。
おれは、
「全知全能の力が欲しい!」
という願い事を告げた。

神さまはホッとした表情をすると、自分の頭の上の輪っかをはずしておれの頭の上に乗せた──。
ファンタジー
公開:20/02/27 17:35
更新:20/07/01 13:24
3月25日「神のお告げの祭日」 ショートショートカレンダー

渋谷獏( 東京 )

(੭∴ω∴)੭ 渋谷獏(しぶたに・ばく)と申します。 小説・漫画・写真・画集などを制作し、Amazonで電子書籍として販売しています。ショートショートマガジン『ベリショーズ』の編集とデザイン担当。
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