ボタン雪

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摂氏2℃の午後2時、明日のシャツにアイロンを掛けながら、ブラインドの間から、ほたほたとぼたん雪。
道理で静かだと思った。留められてしまったな、白に覆われた庭に苦笑する。この分なら、明日は30分早起きしなければ。目覚ましの設定を直すのが億劫で、気持ちが少し沈む。
まぁいい、ついでに1つもらおうか。アイロンの終わったシャツを手に勝手口へ。手芸屋へ足を運ぶのも億劫で、取れたままにしてある。

ほたほた転がる中に、生憎近い型が無かった。これだけ降っても、同じ物は無いのだな。また沈んで一応納得して、――あぁ、ここにあった。中空に円く浮いたひとひらを摘まむ。
にわかに音が弾け、ぼたん雪は降りしきるあられになった。
天の袖を外してしまったか。慌てて裁縫箱を取りに走る。元の物は融けたので、自前を外し、針と糸で縫い付ける。音が止んだのに一安心。
仰いだ空は既に青く、シャツのボタンがからかう様に扇いで消えた。
ファンタジー
公開:20/02/27 15:04
摂氏2℃の午後2時

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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