だれのせい太郎

12
8

感情。それを「感錠」という麻薬に造り替える技術がある。それを持つ宇宙人がいる。
昔々。火星は、地球と瓜二つ。自然豊か。住民の火星人の感情も豊か。暮らしやすい星だった。
火星を見つけた宇宙人は、非常に喜んだ。感錠の原料である、感情に溢れているからだ。彼らは、感錠への薬物依存の為、星を追われた集団だった。涎を垂らして、火星に降りた。基地「鬼ヶ島」を造り、感情採掘を始めた。薬製造上、歩留まりの良い感情は、恐怖。黒い雨を降らせて畑を腐らせたり、村を焼いたりした。火星人の心労は、すぐに限界を迎えた。
そこへ、希望の光。川の上流から流れてきたのが、大きな桃。桃太郎の桃だ。心優しいおばあさんが、川に洗濯に行き、それを見つけた。が、意外なことを口にする。
「こんなおいしい話、怪しすぎる。拾うものか」
桃は下流に流れていった。

今、火星に生命はいない。
SF
公開:20/02/27 09:11
更新:20/02/27 12:12
スクー 火星の桃

久保田 人月

よろしくお願いします。
note「久保田正毅」でも、ショートショートをシェアしています。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容