夜のささやき

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あなたの左手が私の顔に降ってきた。


痛い、と思いつつも私はつい笑ってしまう。
うっすらと汗をかくあなたの額を私はニヤついたままの顔でじっと眺める。

つい10分前までにぎやかだった空気はいつの間にか、夜のまどろみに溶けてしまった。
静かでおだやかな時間とともに私は寂しくなる。

あと何回、この小さな手で私を探しながら眠りにつくのだろう。そのわずかに聞こえる吐息を私はあと何回、肌で感じることができるのだろう。

あなたの右足が私の膝を押してくる。

痛い、と思いながらもその愛らしい寝姿に私はつい笑ってしまう。
その他
公開:20/02/24 22:11
子育て

一ノ瀬なつ

書きたいことを書くだけの書きたがりです。
手紙を書くのが趣味です。

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