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昨年の秋、私はチューリップの球根を買いに花屋に行った。夫が長期出張で海外に行ってしまっていたので私は寂しさを持て余していた。帰り道、陽の光に結婚指輪をかざす。細かく装飾の施されたその指輪は私の宝物だ。家に帰り庭に球根を植えたあと、いつも通りひとりで過ごした。
眠ろうとして気づく。
……指輪がない。
焦った。シンクや洗面所、机やベッドの下もくまなく探したけれど見つからなかった。夫に電話をすると「そのうち見つかるよ」とのほほんと言われた。
結局、指輪は見つからなかった。
季節は巡り、優しい風と共に春が訪れた。
「あ、芽が出てる」
チューリップの芽がキラリと光る。
「……ここにあったんだ」
光っていたのは指輪だった。
球根を植えた時に土の中に落とした指輪が、チューリップの芽に引っかかって押し上げられたのだ。
私は土を払うとそれを薬指に嵌めた。
「おかえり」
懐かしい春と、大切な指輪に。
眠ろうとして気づく。
……指輪がない。
焦った。シンクや洗面所、机やベッドの下もくまなく探したけれど見つからなかった。夫に電話をすると「そのうち見つかるよ」とのほほんと言われた。
結局、指輪は見つからなかった。
季節は巡り、優しい風と共に春が訪れた。
「あ、芽が出てる」
チューリップの芽がキラリと光る。
「……ここにあったんだ」
光っていたのは指輪だった。
球根を植えた時に土の中に落とした指輪が、チューリップの芽に引っかかって押し上げられたのだ。
私は土を払うとそれを薬指に嵌めた。
「おかえり」
懐かしい春と、大切な指輪に。
その他
公開:20/02/24 21:20
更新:20/02/24 22:00
更新:20/02/24 22:00
みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
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