スターウォーズのジェダイを目指す木下君

　部長に勧められてスターウォーズのDVDを貸してもらったのが三ヶ月前のことだった。気のいい木下君は、すっかり映画全シリーズを観てハマり、おかげで部長と一緒に飲みに行くようにもなって親密度も上がった。
　そして今日、アメリカから小包が届いた。それを見て、木下君は恐れおののいた。それは一時の感情の昂りだったのだ。これに十万円を支払うなんて…。金欠なのに！
　中から出てきたのは、高級ライトセイバーである。
　仕上がりは素晴らしく、スイッチを入れると光り、振り回すと効果音まで出る。だが、これを何に使うのか全く考えていなかった。光る棒を外して本体部分だけをリュックに入れると、木下君は思った。
　僕はロマンと言う名の宝物をリュックに詰め込んだんだ！

　その後そば屋に入った木下君は、いつもよりちょっと重たいリュックを置くと、メニューを見て一番安いかけそばを頼んだ。
　これがジェダイに至るための試練…。