ありがたき友

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「話す事のが苦手なんだ」
小高い丘の上でシルクハットをかぶった男は夜空のキャンパスに美しい弧を描いていた三日月に話しかける。
「君は僕とこうして話が出来るのだから、あとは自信だけだね」
三日月は男に言う。
「実は社交界で素敵な女性を見つけたんだ。でも声を掛ける勇気がなくて」
「勇気とは、新しい自分を見つけるための一歩だ。そして一歩を踏み出さない限り自信は身に付かないね」
「勇気・・一歩・・自信・・」
シルクハットを深々とかぶり、男は呟いた。そして、
「一歩。一歩だね。頑張ってみるよ」
男は立ち上がり、シルクハットを軽く上げて三日月に礼を伝えた。
手に持つシルクハットは震えている。
三日月は先端でヒョイっと男のシルクハットを救い上げる。
「おっと、失礼。悪戯心が働いてしまったよ」
三日月は男にシルクハットを返し男に言葉を送った。
「足元は照らす。君は彼女だけを見ていればいい。大丈夫だ」
ファンタジー
公開:20/02/25 20:34

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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