夜中の記念撮影

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「ちょっとだけ出てきてよ」

僕はしのぶを呼び出した。彼女はこっそりと家を抜け出してきてくれた。

「こんな夜中だから、あまり長い時間は無理だよ。早く帰らなくちゃ」

「うん、わかってる。記念に写真を撮っておきたいと思ったんだ。もうすぐ、あと30分くらいで君の誕生日じゃないか。」

「おぼえてくれてたんだ? 明日は学校休みだもんね。」

「ちょうどいいと思ったんだ。あれも出てることだし。影をいっしょに撮ろうと思ってさ。」

そう言って僕は南の空を見上げた。まぶしいくらいに輝くそれは、今だけのもの。だからこの瞬間を切り取ってふたりの記念にしたかった。

たどり着いたのは森の中の湖のほとり。そこだけ木々の上に丸く空間が広がり、星空が一望できた。

「あの光を受けてできた僕たちの影を残そうよ。こんなのもう一生できないかも。」

そうして僕らは写真を撮った。ベテルギウスの超新星を背景にできた影の。
ファンタジー
公開:20/02/27 19:00
313 青春の思い出 ベテルギウスの超新星爆発 夜でも影ができる

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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