真冬のオリオン

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12月上旬の山陽自動車道上り線。僕はひたすら寒さに耐えながらオートバイを駆る。

中国地方はやたらに長い。山口もさんざんだったが、やっと広島に入ったと思った頃、すでにあたりは真っ暗で道路を独占状態だ。

夜の高速はひたすら寒い。ヘルメット越しに冷気が頭を締め付ける。防寒用のグラブもオーバーパンツも防寒防風のジャケットも効果はわずかで、じわじわと冷気が身体全体を襲ってくる。

なんでこんな思いをしてまで走るのだろうと自問自答するが答えは簡単。家に帰るためだ。鹿児島から東京まで延々と高速を走るだけ。

午後7時といえばもう真っ暗だ。街路灯の無い真っ暗な中、前後に車も無く、ヘッドライトに照らされた道が見えるだけ。

そんな中、岡山あたりで、前方の中国山地から横倒しの巨人が現れた。青白いリゲル。そして満月のようなベテルギウスが。

640年前の光に少しだけ心が暖かくなった気がした。
その他
公開:20/02/26 19:00
更新:20/02/27 16:07
311 ベテルギウスの超新星爆発 満月くらいの明るさになるとか 中国山地からオリオンは出る まるで巨人が現れたよう ホントに寒いです

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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