伝説の銀のカタツムリ②

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 また的矢のおばちゃんの仕業だ。
 おばちゃんは俺の小学生時の同級生・的矢栄二の母ちゃんで、俺達が遊びに行くと「ゆっくりしてってね」とニッコリ笑顔でウインクしておやつを置いてってくれた。その時にいつも銀歯がキラリと光った。ウインクで『片目をつむり銀歯』を見せるおばちゃんの事を、俺達は敬愛の意を込めて『銀のカタツムリ』と呼んでいた。当時の少年漫画はキャラクターに『北海の荒鷲』とか異名をつけたりして、かっこよかったからだ。
 おばちゃんもそれを気に入って自らペンネーム等で使っている。
 愛嬌があって地元の世話役をかってでる人気者で俺も大好きだ。仲人も多く務めてる。
 最近は独身の俺にやたらと縁談を勧めてくるので、おばちゃんの勤める「湯〜とぴあ」に来た時は見つからないように逃げ帰っていた。
 それで、おばちゃんは俺に用のある時は愛飲しているリンゴ黒酢を空っぽにして足止めするのだ。
 職権濫用だ。
ミステリー・推理
公開:20/02/25 19:26
更新:20/05/23 10:55
立中森一(たてなかしんいち) 推理物シリーズ

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
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