ユキノネ

今年は春が早いな。と思ったら、急に雪を追っ掛けたくなった。
有給取って一人旅。山の彼方のまだ東北、幸い『降る』と人の云う♪なんて洒落つつ、良い感じに鄙びた民宿を確保。長くなった陽の続く間に、山裾ぶらり散歩行き。木立の下に根雪を見付け、北へ来た甲斐はあったと自己満足。ざくり足を乗っけて、
『＊＊』
何か聞こえた？
もう一回、ざく
『＊＊～＊』

泣き雪なんてあるのか？宿に帰り女将に質問。
「はぁ、まんずネユキだもの」
「根雪って、根っこに溜まるだけじゃないんですか？」
「音に雪で音雪（ネユキ）。雪さ降っと静かんなる。雪が音吸うて閉じ込めるんです。ほんで春に融けて、ふーっと息さ吐く時、吸い込んだ音が声さなるんです」
ふむ。理屈は面白いが、若干疑問が解けきらない。
翌日、例の雪溜まりで再検証。せーの！
がすっ！
「～＊＊！」

寝返り打った。やっぱりこれは寝言だ。
音雪と言うか、寝雪じゃないか。