伝説の通訳、山田さん

伝説の通訳と呼ばれる山田さんが我が社で講演をしてくれると聞き、俺は喜んで参加した。
我が社はグローバル展開してる世界的企業だ。俺もいずれは世界を股にかける商社マンとなるべく研鑽を積んでいる。そんな俺にとって山田さんは憧れの人だ。
山田さんとは一体どんな人なのだろう？１４か国の言葉を操れる俺でも全く想像が出来ない。
ああ…早く会いたいなぁ…

「あっ…はじめまして。山田です」
…
ステージの上に立ったのは小さなおじさんだった。
何の威厳も圧力もない、リストラ寸前といった感じのおじさんだった。この人が山田さん？嘘だろ？
「え～、最初に言っておきます。私の通訳とは『上司の無茶な命令を部下にやる気を出させつつ無茶を隠して伝える』事に特化したものです。あと私は日本語しか話せません」
こ…これが山田さん…
すげぇ！
どんな外国の言葉を操ろうともそれはマネ出来ないよ！
山田さん、その話術教えてください！