おかんがはしる

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机の上を見て、背筋に悪寒が走った。お弁当が置いてある。宿泊学習に出かけた息子のお弁当が、気配を絶った忍のようにそっと机の下、椅子の上に忍んでいた。
(ギリいけるか?あるいはもうすでに……)
いや、この場合必要なのは思考ではなく行動である。私は弁当箱を即座に確保し、現場に急行した。
行手を阻む赤信号!残高不足のICカード!弁当箱を狙うカラスと野良犬たち!普段なら有り得ないアクシデントを掻い潜り、なんとか学校に着いた。しかし、私が見たものは生徒たちを乗せて走る去るバスの後ろ姿だった。
(南無三…!)
いや、いける。信じるものは救われる。私はリミッター解除して、“本気”の走りを見せた。
「もってくれよ、私の両足!」

僕は背筋がゾッとして振り向いた。何かが迫ってくる。300m、200m…徐々に、しかし確実に距離を縮めてくるソレに気づいて、僕は青ざめた。
「おかんが…僕のおかんが走ってる…」
青春
公開:20/02/23 16:33
この後めちゃくちゃ叱られた どうしてもソレが言いたかった

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
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『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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