春を告げるのは、

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「ふにゃぁ、」

「ふしゅう、」

「・・・」

暖かい風が南から吹く。
この街でも、各家庭にある花たちは冬の眠りから覚めて、動きだしたようだ。

「なぁ」

「うん?」

「どう?」

段々と蕾は大きくなって開き出す。
そして、隣の仲間といる。
俺は近所の家々に咲く花を見て、思わず立ち止まった。
桜より早く春を告げる花たちは、然り気無い美しさを見せて、俺の気持ちを開かせるよう。

「これがね、大事なの」

そう言う祖母は、斜め向こうの花を指して話すのだ。

花は満開。小春日和。

俺と祖母が見つめる先には
小鳥と梅が並んでいて
ファインダー越しではっきり映る。

「なあ、」

「うん、」

梅と小鳥は
祖母と俺を見て、そんな会話で笑い合っているのかもしれない。
ちちち、と鳴く声とさわさわなびく音が、俺の耳を通して聴こえてくるのだ。
(おわり)
ファンタジー
公開:20/02/23 16:00
#梅 #小鳥 #祖母 #俺

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

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