sCloud

ついに睡眠クラウド、通称『sCloud』の開発に成功した
余剰睡眠を他者と共有出来ることになったのだ
これは人類にとって画期的な進化だろう

最初は社内で試した
副社長が寝すぎた分を私がダウンロードすると、ぐっすり眠ることができた

大成功
満を持してリリースだ
さあ、働きたいときに働き、寝たいときに眠るのだ

と、そうも上手くはいかなかった
どうやら睡眠の質が反映されてしまうらしい
ある男の睡眠をダウンロードしてみたが、寝汗をびっしょり掻いてしまった

また夢も共有されてしまうことがわかった
楽しい夢も悪夢もたくさん見た

もっとも問題だったのは、社会が分断されたことだ
世の中が、働く係と睡眠係に別れてしまった
能力のあるものは眠らせてもらえない

これでは開発した意味がないじゃないか

私は打開策を考えた

そういうわけなんだよ
我が社の地下で70億匹のマウスが、睡眠薬で眠っているのは