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夜の帳に火が点いて、瞬く間に燃え盛った。まるで命を持った紅蓮の炎が、もくもくと茜色の雲を吐き出しては、また呑み込んでいく。小さな我輩の羽音がくっきりと輪郭を持つほどに、世界は静かに入れ替わっていく。
我輩は飛んで火に入る蜜蜂になって、一万の昼と、一万の夜を漂った。そしてその境界で、昼が一万回燃え、夜が一万回燃えた。その燃え盛る、画家が自分の血と魂を絵の具にして描いたような景色から、我輩はそれぞれ全く違う茜色を一つずつ集めた。時には喜びに満ち溢れた茜色。時には怒りに打ち震える茜色。哀しさで消え入りそうな茜色に出逢う日もあった。
今、我輩の抱えている透明なガラスの小瓶の中で、集めた二万の茜色が、黄金色の蜜に変わった。それをいっぺんに飲み干すと、我輩の体はバチッと内側から粉々に散って、ゼリーになった中身が瓶の中に収まった。瓶はそのまま春の風に乗って、君に届いてくれるといいな。
我輩は飛んで火に入る蜜蜂になって、一万の昼と、一万の夜を漂った。そしてその境界で、昼が一万回燃え、夜が一万回燃えた。その燃え盛る、画家が自分の血と魂を絵の具にして描いたような景色から、我輩はそれぞれ全く違う茜色を一つずつ集めた。時には喜びに満ち溢れた茜色。時には怒りに打ち震える茜色。哀しさで消え入りそうな茜色に出逢う日もあった。
今、我輩の抱えている透明なガラスの小瓶の中で、集めた二万の茜色が、黄金色の蜜に変わった。それをいっぺんに飲み干すと、我輩の体はバチッと内側から粉々に散って、ゼリーになった中身が瓶の中に収まった。瓶はそのまま春の風に乗って、君に届いてくれるといいな。
ファンタジー
公開:20/02/24 09:56
更新:20/02/24 10:37
更新:20/02/24 10:37
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