妖怪考察　～徳島県～

「ここの石を拾ってはいけないよ」
旅人の私に現地の方が教えてくれた。ここの石は何か貴重なものなのですか？
「いんや。ただの石ころだ」
では何故？
「オッパショ石は御存じかね？」
何ですかそれ？
「オッパショとは徳島の方言で『背負ってくれ』って意味でな。ここにはオッパショオッパショと泣く石が偶に転がっている」
背負う？
「昔のオッパショ石は持って歩く度にその重さが増していく、なんてものだったが今のオッパショ石には多くの厄が込められている」
石に厄が？
「ここ徳島には厄落としで有名な寺、薬王寺がある。日本中から厄落とし目的で多くの人がここを訪れる。お前さんもそうじゃないのか？」
私は風土研究で来ました。
「研究者さんか。ま、捨てる神あれば拾う神あり。オッパショ石は厄を拾ってくれる人を待っているんだ。だからここの石は拾ってはいけないよ」
ここ徳島は子泣き爺発祥の地。オッパショ石とそれが繋がった。