ホライズンブルーを覗く

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朝7時のカーテンが、似てるって言ったの。
「ホラインズンブルー。地平線や水平線の空。スカイブルーより柔らかい、軽く緑がかった青」
地平線近くは、浮遊物が多いから青みが抜けるんだって。難しい話とか解らない。でも、貴方の唇が動くのを見るのが好きだから。
「アザー。セレスト。外国の青空は幅広いな。日本じゃ『空色』一つなのに」
手で分けて、窓を覗く背中は嫌い。時間だって時計見なくても判る。
「瓶覗(かめのぞき)もあったな。日本の染色名だけど。藍瓶を一潜りしただけの、薄情で安い色。一入(ひとしお)の語源なんだってさ。覗く度に濃さが増す?空々しいと思わないか。現実、一回で終いの事も多いよな」
アタシはカーテンの先なんて覗きたくないの。アイの濃さもコイの幅も知りたくないの。貴方の空に何人映ってて、アタシが何番でも番号さえ付いてなくても、アタシの青は貴方一人なの。
だから、幕切れの色にも目を瞑ってるの。
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公開:20/02/22 14:50
更新:20/02/22 16:39
本日のBGM: 矢井田瞳 『I’m Here Saying Nothing』 愛・藍・and,I=1

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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