残雪剣

ツンドラ地帯では一年中とけない万年雪がある。特に、その冬に降った新雪で春まで残った残雪は粘り強く硬い。
この残雪でエスキモーの鍛冶屋が作ったとされる「残雪剣」は、冬将軍も愛用する西洋剣で、斬れないものはないとされている。
流れ星の金属である鉄隕石から作ったとされる「斬鉄剣」も、コンニャク以外に斬れないものはないとされている日本刀だ。この斬鉄剣を愛用する十三代目・石川五ェ門に、冬将軍は果たし状を送った。五ェ門もこれに応え、決闘の場は、宮本武蔵と佐々木小次郎が対決した巌流島に確定した。
初春に猛吹雪が舞い散る中、冬将軍が残雪剣を携えて颯爽と巌流島に現れた。だが、五ェ門の姿はない。猛吹雪の海を小舟で渡ってきた五ェ門は、定刻より遅れてやってきた。
いよいよ始まった名勝負は一瞬だった。五ェ門が秘剣・竜巻返しによって猛吹雪を斬鉄剣で断ち、月をも斬ったという一撃で、冬将軍の残雪剣を真っ二つに折ったのだ。