世界で一番素敵な日

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1998年11月18日23時30分頃。

街はまだ明るく、活気を失ってはいない。
泥酔した若者集団が歩道を我が物顔で歩き、中年男性と口論している。
露出度の高いドレスの女性がスーツの男をタクシーに乗せて、見送りながらため息をつく。
いくつかある街灯の1つがチカチカと明滅し、その下では金髪の男が踞って嘔吐している。
男の側では、ピンク色の髪を頭頂部でお団子にしている女性が携帯電話に怒鳴っていた。
近くのコンビニの前にはゴミ箱が設置されているが、すでに許容量を超えている。
当然のようにそのゴミ箱の前にビニール袋を投げ捨てていった男は、白いワイシャツに紺のネクタイを緩めに首から下げていた。
その男は路地に入り、用を足すためベルトを外した。
誰かが男の背後に回った次の瞬間、白いワイシャツは真っ赤に染まっていく。
男の叫びはクラクションに掻き消され、路地裏に溶けていった。

その日、君は生まれた。
その他
公開:20/02/23 09:41

G.G. Rooster( 東京 )

じーじーるーすたー。

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