ボクの一番の親友

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「この子を、カオルを、引き取って頂きたいんです」
 私は人形を扱う骨董屋に来ていた。
 店主はカオルを見るとすぐに目を細めた。
「だいぶ思い入れがおありのようですね」
「わかりますか」
「…なぜこの子をお売りになろうと?」
「カオルのためです。この世界にはきっと、今の私よりも彼を必要としている子供たちがいると思うんです」
「…彼、を?」
「カオルとは兄弟のようにともに子供時代を過ごしました。カオルのおかげで私は大人になるまで孤独な夜も寂しくありませんでした」
「やはりご存知なかったのですね…」
「何がですか?」
「この人形はね、女の子、なんですよ」
「え?」
 店主はじっと私を見つめていた。嘘はついていない目だった。
「カオル…?」
 私は口を手で覆った。
「では、お預かりしましょう」
「待ってください!」
 突如涙が溢れてきた。
「カオル…ホントにごめん!」
 私はその場に泣き崩れた。
その他
公開:20/02/20 23:20
人形

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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