アイス・コーヒーブレイク
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雪室コーヒーという、特別なコーヒーが存在する。
厳寒の北国で、野菜などの生鮮品を貯蔵する雪室。雪を使った天然の冷蔵庫だ。低温と高湿度が保たれ、光や振動など、外部ストレスを受けにくい環境は、コーヒー豆の貯蔵に適しているのだそうだ。雪室でじっくり熟成させたコーヒーは、冬を耐えて芽吹きを待つ木々の様に、雑味や角をそぎ落とし、固く締まった身の内で、まろやかな甘みを蓄える。
せっかく淹れるなら、春爛漫の陽差しより、白銀に降り込めた、雪明りの下が望ましい。
かじかんだ手をカップに温めながら、湯気とともに啜る一口は、木の芽のほろ苦さと、雪解けのせせらぎの味がする。雪催いの香に混じって、暦で僅かに越した雨水の匂いがする。
独り静かに愉しむのも良いけれど、出来れば誰かと味わいたい。凍えた体も気持ちも、ほぐれて流れる至福の一杯。ほっと和んで目を見交わせば、冬の部屋にも、きっと笑顔の花が咲く。
厳寒の北国で、野菜などの生鮮品を貯蔵する雪室。雪を使った天然の冷蔵庫だ。低温と高湿度が保たれ、光や振動など、外部ストレスを受けにくい環境は、コーヒー豆の貯蔵に適しているのだそうだ。雪室でじっくり熟成させたコーヒーは、冬を耐えて芽吹きを待つ木々の様に、雑味や角をそぎ落とし、固く締まった身の内で、まろやかな甘みを蓄える。
せっかく淹れるなら、春爛漫の陽差しより、白銀に降り込めた、雪明りの下が望ましい。
かじかんだ手をカップに温めながら、湯気とともに啜る一口は、木の芽のほろ苦さと、雪解けのせせらぎの味がする。雪催いの香に混じって、暦で僅かに越した雨水の匂いがする。
独り静かに愉しむのも良いけれど、出来れば誰かと味わいたい。凍えた体も気持ちも、ほぐれて流れる至福の一杯。ほっと和んで目を見交わせば、冬の部屋にも、きっと笑顔の花が咲く。
その他
公開:20/02/20 21:56
雪室コーヒーは実在いたします。
雨水(うすい):
二十四節気の一つ。
太陽暦二月十九日ごろ。
アイスブレイク:主に初対面時の
緊張緩和・打破を目的とする
交流・ワーク
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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