一斤、一献(いっこん、いっこん)

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染料の紅花一斤(600g)で絹一疋(二反)染めた色を、一斤染め(いっこんぞめ)と呼ぶ。
その昔、紅花は大変高価な染料で、これより濃い紅を禁色(きんじき)と定め、着用を制限した。まるで淡くけぶる桜色。現代の感覚では匂い立つ様に美しいが、当時は不本意な色であったらしい。
この一斤染めに習い、桜の花びら一斤から採れる酵母で、米二升を仕込んだ酒を、一献染めと呼ぶ。染井吉野の様な園芸種では造れない。水と空気の綺麗な奥山の、山桜の原種のみを使用する。酒樽一つ仕込むには、途方もない量の花が必要で、産地では春の花見が出来ぬ程という。
莫大な手間暇を費やして造る、値千金の酒。盃に注げば桜の色香が馥郁と漂い、底には春霞の濁りをたたえる。口に含めばほろりと甘く、喉越しは清々と澄んで、一山丸々呑んだがごとき贅の極み。
むろん売価も値千金(千両)。盃一つに一両(約十万円)が相場だとか。禁色どころか金色の一献である。
ファンタジー
公開:20/02/21 23:48
桜の酵母から造るお酒も実在。 もう少しお求め易いお値段です。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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