270. よく破れるカッパ

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「まーたカッパが破れたよ…」
主人も私も声を揃えて呟いた。
私たちの趣味は野球観戦で、野球のシーズンを毎度楽しみにしており、雨でも強風でもめげずにカッパを着て参戦する。
数年前までは例え100円ショップのだって1日ずっともったのに最近のは数時間着ているだけ、しかも腕を伸ばした瞬間などにバリッと破れてしまうのだ。
でも100円だから文句も言えないし…二人とも同じ考えなのでお互いにショップへ行く度にまとめ買いし、毎回替えの分も持参している。
「それにしても酷いね…」
この日も二人してスペアのものに着替え、着てきたものはゴミ箱に捨てた。

(ふふ、今回も上手くいったね!)
破れたカッパは顔を合わせ、のそりのそりと人間には気づかれないように注意を払い移動する。
(あー、故郷の川だー!)
ぴちゃぴちゃと二匹は嬉しそうに川底へ消えた。

(僕たちがイタズラするからって人間が雨具に変えてもめげないぞ!)
ファンタジー
公開:20/02/21 21:00
更新:20/02/22 02:57
スクー カッパのセカンドライフ

ことのは もも。( 日本 関東 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていきたいと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

 

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