はからい

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仕事を終えて家に帰る途中、部活帰りの息子と出くわした。
冬の北風が体を冷やす。そこの居酒屋で一杯やっていかないか?と言いたくなる。息子と酒を飲む。私の夢だ。
だが息子はまだ高校生。私はあと数年先の楽しみを夢見て帰宅する。
「いらっしゃい。居酒屋・わが家へようこそ」
割烹着を着た妻が私達を迎えた。
「とりあえずビール」
驚く私をよそに息子は席に着くと注文した。息子は出てきたそれを一気に飲み干す。
「か~!この為に生きている!」
おいおい!未成年が酒飲んじゃマズいだろう!グラスを取り上げる。
ん?このビール?甘いぞ。
「そちら、未成年でも飲めるバタービールです」
騙された。
「お客様にはこちらのベルギーのチョコレートビールをどうぞ」
私は出されたジョッキを口にする。甘いアルコールだ。
「親父。いつか本物の酒、一緒に飲もうな」
家族の甘い計らいに私は胸やけした。
この涙はおでんのからしのせいだ。
公開:20/02/19 19:20

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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