玉手箱

10
9

浦島太郎は浜辺に着くと、なんだか以前と違う空気に戸惑う。
自分の家もないし、知らない人ばかりだ。
途方に暮れた浦島太郎は、乙姫様からもらった玉手箱を思い出す。
そうだ、あれを開けたら何か宝物が入っているに違いない!
しかし箱を開けた浦島太郎は、宝物を手に入れるどころか、おじいさんになってしまった。

竜宮城では、この様子を乙姫様が水晶玉を通して見ていた。

「あ〜、やっぱりこの人もダメだったわ。
どうして我慢できないのかしら。
絶対開けちゃダメって言ったでしょうよ。」

そう、この玉手箱は乙姫様が与えた「試験」だったのだ。

「スタンフォード大学の有名な”マシュマロ実験”って知ってる?
マシュマロを我慢できる子の方が将来成功するって、あれ。
玉手箱を開けないで我慢できるかどうかテストしてるんだけど、みんな開けちゃうのよね。
これで5人目よ。
成功する男を見極めるのは時間がかかるわね。」
ファンタジー
公開:20/02/19 17:00

花奈

本を読むことが大好き。本屋を開きたい。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容