本を読むこと

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目の前にあるミルクティに手を伸ばす。
頁からは目を離せられない。
幾つもの文字が目の前に溢れている。
自分の目がそれらをどんどん辿っていく。頁を捲る。
ふと目が痛いと思い首を振ると、そういえば瞬きを忘れていた事に気づく。

主人公が話す。
脇役が話す。
言葉が乗っていく。
文字を追うスピードがどんどん早くなっていく。
左手に触れる頁の厚みが薄くなるのがわかってくる。
もう終わってしまう。
もう少しだけ。


本を置く。
あらすじを説明しろと言われても、上手くはできないだろう。
でも、確かに胸の中には熱いものが残っている。
全てを言葉で表さなくてもいい。
誰かに説明なんかしなくていい。

自分のこの熱いものの存在さえ、忘れなければいい。
その他
公開:20/02/18 21:37

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